瀬戸内しまなみ海道 ママチャリツアー道中記
東洋美術史の竹浪です。10月29~30日に、体育の上先生の企画で、広島県と愛媛県を結ぶ「瀬戸内しまなみ街道」(西瀬戸自動車道)のサイクリングに参加してきました。瀬戸内の島々とその間にかかる6つの大橋を巡る、2日間約120キロに及ぶレンタサイクルの旅です。
1日目 スタートにハプニング
今回の参加メンバーは、上先生のほか、日本画の川嶋先生と三橋先生、フランス語の中村先生、哲学の永守先生、総務のM谷さん、I本さん、教務のN枝さん、そして私の計9名。夜明け前に川嶋先生と上先生のお車で二手に分かれて尾道を目指す手はずです。私は上先生の班ですが、朝5時に待ち合わせのはずが、I本さんがきません…携帯にも出ない…。「こりゃ寝てますね。」「5時半まで待ちましょうか。」待っている間の雑談で一日の走行距離が60キロだと初めて聞き、内心ビックリ。完走できるか全く未知の数字です。
そうこうしているうちに、5時半になりました。「そろそろ行きますか。」「I本さんには新幹線で来てもらいましょう(本気)。」上先生がエンジンかけますと、車から「ひゅるひゅるひゅるひゅ~」と情けない電子音がして、エンジンがかかりません…。何と待っている間の点灯でバッテリー切れです!上先生、とっさの判断で向かいにあった消防署に助けを求めますが対応してもらえず、ロードサービスに電話します。でも来るまでには時間がかかるので、助けてもらえる車がないか探すことに。運転のプロであるタクシーや運送会社のドライバーに頼んではということになり、上先生が交差点に停まった個人タクシーを呼んできてくれました。ベテランの運転手さんで、専用のケーブル(先が大きな洗濯バサミのようになっているブースターケーブルという器具)をつないでくれると、「ブルン」とエンジンがかかりました。頼んでから、ものの5分でした。さすがはプロ。京都で一台だけという、派手に点滅するテールランプに照らされた年齢を重ねた横顔がまぶしかったです。
この間にI本さんからも電話があり、二度寝していたとのこと…大慌てで来てもらい、無事に集合となったのでした。川嶋先生たちとも無事に吉備サービスエリアで合流できました。
いよいよスタート!
尾道から一つ目の向島にある「尾道市民センターむかいしま」にて自転車をレンタル。ホントに普通のママチャリでしたが、変速付きなのはありがたかったです。天気は曇り。10時40分にスタート。涼しくて風もなく、サイクリングにはちょうどよい天気でした。
一つ目の橋「因島大橋(いんのしまおおはし)」です。
道にはサイクリングロードを示す青い線が引かれていますが、どの橋も渡るためにはまず山道を上る必要があり、その入り口がうっかりすると見落としてしまうので要注意です
二つ目の橋「生口橋(いくちばし)」です。
生口島に渡ってから休憩。伴走車の上先生が応援してくれます。
帰りにはここ(ドルチェというお店)でジェラート食べました。ちなみにこの島には平山郁夫美術館もあります。
三つ目の「多々羅大橋(たたらおおはし)」です。ちょっと疲れてきましたが、悪くないペースです。頑張れば行けるかもと、希望が見えてきました。
渡る前の公園で休憩。三先生、腹筋ですか?今回奇跡の1枚。
待望のお昼
橋を渡った大三島の「多々羅しまなみ公園」で遅めのお昼(午後2時)です。海鮮丼、名物のマハタのお刺身美味しかったです。
お腹も膨れて四つ目の「大三島橋(おおみしまばし)」をめざして再スタート。天気も良くなってきて、秋の空と瀬戸内海の青さが堪能できました。
大三島橋を渡れば伯方島。
そろそろ脚もきつくなってきましたが、それより先にお尻が悲鳴を上げました。サドルが硬めで、こぐたびに骨盤に響きます。
ちょうどコーナンがあったので、川嶋先生と中村先生と三人でクッションと紐を購入し、サドルに巻き付けます。これで少し楽になりました(これを読んで行かれる方はぜひクッションの準備をお薦めします!)。
ラストスパート
いよいよ本日最後の橋「伯方・大島大橋(はかた・おおしまおおはし)」です。渡れば続く穏やかな海岸線。上先生が宮窪レンタサイクルターミナル前にて出迎えてくれました。あとは30分ほど山道を登れば、宿泊所の「みやくぼ石文化交流館」です。最後の急坂はどうしてもペダルが進まず、降りて歩きましたが、約60キロを走破しました。最後尾の私が着いたのは5時。トップのN枝さんは、1時間前に着いたそうです。すごい!!
2日目 今治までの一人旅
当方、小学生の頃からのお城ファンです。今治と言えば藤堂高虎が築いた今治城。みんなは昨日のルートを戻りますが、上先生に相談して、私だけ別動隊で今治城まで行ってくることにしました。ただしスケジュール上、11時までに帰ってくるのが条件。距離的には朝5時にスタートすればぎりぎり間に合う計算です。
朝4時45分に自然と目が覚めました。脚も思ったより痛くないし、行けそうです。着替えて外に出るとまだ真っ暗。宿泊所は山の中なのでちょっとと言うか大分怖かったです。お城を見たい一心で峠道をハンドルを誤らないよう、ただ前を見て慎重に進みます。
今治までは「来島海峡大橋(くるしまかいきょうおおはし)」を渡ります。第1から第3まで三本の大橋が約4キロにわたって続きます。ちょうど橋に差し掛かったところで夜が明けてきました。早起きへの嬉しいご褒美です。左手に昇ってくる朝日に照らされながら遂に四国に着きました!
時間と体力の節約のため、橋からすぐの無人駅「波止浜(はしはま)駅」に自転車を止めて今治まで一駅だけ乗車。少しでもお城を長く見たいので駅からはタクシーで行くことにしました。お城の周りを一周してもらい堀からの眺めを撮影。年配のとてもやさしい運転手さんで、要所要所で停まってくださいました。
正面の鉄御門は平成19年になってからの復元。
5層の天守閣は昭和の復興(想像で作られた模擬天守)です。櫓や塀ともあいまって、美しいでしょう!
お城のなかでも散歩に来たやさしいおじいさんが、濠には大きなエイやクロダイが海から泳いでくるよと教えてくれました。
これはボラとクロダイです。
魚を撮ったところで、ちょうどカメラの電池が切れました。帰りの橋の上は、天気も晴れて海も空も島も青くて、まるで青磁の釉薬の中を漂っているような不思議な感じでした。朝には下ってきた道をラストスパートで登り切り、11時少し前に宮窪レンタサイクルターミナルで上先生と合流。二日間お世話になったママチャリともここでお別れです。他のメンバーも昨日の道を折り返し、無事全員完走できました。
筋肉痛にはなりましたが、参加させていただいて、先生方や事務のかたとも色々お話できましたし、瀬戸内の自然や地元の人たちの温かい人柄にも触れることができました。皆さん本当にありがとうございました。